相性がいいみたいなのですっ
いいみたいなのですっ!と言われても
日織(ひおり)さん、週末は何をして過ごしたいですか?」

 夜、仕事後にいつものように掛けている電話で週末のデートの希望を聞いたら、電話先で少し考える気配がした。

修太郎(しゅうたろう)さんっ、私、酒蔵(さかぐら)に行ってみたいのですっ』

 予期せぬ言葉が返ってきた。


「サカグラ……って。あの、お酒を造るところですか?」

 思わず聞き返したら『それ以外に酒蔵なんてあるんですか?』とスマホの向こうでクスクスと笑う声がした。


『ほら、前に私の幼なじみのききちゃんがこちらへ遊びにいらしたとき、お土産に買って帰られたじゃないですか、こちらの蔵元のお酒』

獺祭(だっさい)のことですか?」

 聞けば、『はいっ、それですっ』と弾んだ声が返る。

『私、あのお酒、すごく気にいったのですっ。すっごく美味しいのですっ』

 ん? それは初耳なんですが。

 と言うか、いつの間にお飲みに?

 僕の知る限り、日織さんは日本酒なんて(たしな)まれたことはないはずだ。
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