君の初心者



次の休日は、2回目のデート。

合唱部部長でおしゃれさんなゆり奈ちゃんに選んでもらった服を着る。


智也くんを好きになる前はあまり自分の容姿に気をつかったことはなかったけど、智也くんに少しでもかわいく見られたいなってとかって思うようになってから、おしゃれへ関心を持つようになった。


……果たしてその成果が出ているかどうかは、分からないけど。




「紗良、手繋ご」



ぎゅっと自分の手を握られ、ぎゅんっと心臓が飛び跳ねる。

わたしより大きくて、骨張った手。


キスもだけど、正直手を繋ぐことにもまだ慣れてない。


でも初めてのデートのときよりかはどきどきが治まってきたし、少しずつでも慣れてきてるのかなって思う。



「手繋ぐだけで赤くなんのかわいいね」



あっ、そんなことなかった。

やっぱり智也くんの甘い言葉には、一生なれる気がしない。


完全に智也くんのペースに巻き込まれてるなぁ、わたし。

ふう、どきどきする……。




———そうだ。ついでにいってしまうと、わたしが一番慣れないのは、ぎゅーってすること。




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