秘密のノエルージュ
だから大和に好きな人が出来たときは、自分も存分にからかってやろうと思っていた。なのにいざ大和に好きな人が出来たと知ると、根掘り葉掘り聞こうとしていた気持ちは何処かへ消えてしまっている。
「無難じゃなくて、ちゃんと喜んで欲しいんだって」
大和が少し不機嫌な顔をする。
下着の話に思考が戻ってくる。
そんな風に不機嫌な顔をされても困る。大和だって、彼女でも何でもない女の子がクリスマスプレゼントにパンツを送ってきたら、絶対に気持ち悪いと思うはず。しかもそれを他の男の子に相談して選んだなんて、後から知ったらドン引きするはず。
「いや……やっぱり、もう少し考えてからにするか」
「うん、その方がいいと思う」
大和がハッとして話題を切り上げてきた。菜帆がどう伝えたら理解してもらえるのかと考えているうちに、自分で結論を出したようだ。
(まぁ、それならそれでいいんだけど……)
結局その日は、駅ビルには寄らないことになった。冬の木枯らしがぴゅうぴゅうと吹くマンションまでの岐路を、他愛のない雑談をしながら並んで帰る。でも頭の中は別のことでいっぱいだった。
(大和の、好きな人)
初めて聞くかもしれない、大和の恋愛話。それは菜帆にとってちょっとした衝撃だった。そしてその衝撃が音もなく去ると、今度は胸の中に妙な寒さが入り込んできた。