#青春リクエスション
金曜日、待ちに待った生徒会親睦合宿の日。
名目上、生徒会だけど裏は青春リクエスションの活動。
凛空ちゃんいわく、闇の結社みたいでカッコいいって。
暁先輩が目指してるのはその逆の光り当たるスポットな気はしたけど凛空ちゃんが楽しそうだから黙っておいた。
授業後、凛空ちゃんと一緒に生徒会室へ向かった。
北校舎の最上階4階、左奥の教室。
少しづつ慣れ始めた私の居場所。
「由夢ちゃん、凛空くんお疲れ様!さぁ会議を始めるよ!」
気付けば定位置のように決まった席に座り、暁先輩の号令で生徒会会議が始まる。
「では、親睦会合宿の議題を発表します」
議題という言葉の響きにそわそわしながら暁先輩の次の言葉を待った。
生徒会としての、青春リクエスションとしての、初めての仕事は何だろう。
「リクエスト増やすために何したらいいか、意見ある人挙手で」
「「「「………。」」」」
あ、この流れデジャブ。
大概暁先輩が話した後はみんな先輩を見て黙るのがお決まりコースになりつつある。
「暁、…そんなの知らない」
今日も一寸の狂いもない鉄の女っぷりを発揮する藤代先輩がスパッと一蹴りして余計空気がしんっとなった。
尚の事、意見言いづらい雰囲気になった。
「マブ、何か意見!」
「困ったからって俺に振るな!つーか、Speaksの利用者が少ないのが問題だろ。今の利用者は全校生徒512人中94人、そのうち5人が俺ら。だとしても何の情報もなく登録してくてれること考えたらすごいと思うけどな」
だいたい生徒の1/5が登録してたんだ。
馬渕先輩が言うように、意外と悪くない数字だと思った。
「でも呟かれてるのはほぼないし、9割がノギの自作自演だし」
数字悪かった。
「今までの流れだと、俺か花絵がリクエストして、それにノギが返信して、青春リクエスションの任務完了…だったけどそれに凛空と由夢が加わっても自作自演感は否めないだろうな」
何だろう、聞く限り前途多難すぎるし、こんなこと半年も続けてたなんて…普通にすごい。全然ディスってるわけじゃないけどすごい。
何も言うことが浮かばない私の隣で、ゆっくり凛空ちゃんが手を上げた。
「あの、思うんすけど…そもそも青春リクエスション知ってる人圧倒的に少ないと思うんすよね」
ちょっと思ってたけど言いにくかったことを凛空ちゃんが言葉にしてくれた。
「もっと宣伝した方がよくないですか?」
「…宣伝、それは言えるけど。でもどうやって宣伝を…?」
腕を組んで悩む仕草を見せる暁先輩に、凛空ちゃんが話を続ける。
「俺も元々は友達に聞いて知ったんすよ。それで調べてみたけどわかんないとこも結構あって、半信半疑っていうか…胡散臭いって言うか」
「………。」
暁先輩がちょっとだけ悲しそうな顔をした。本人そんな風に思ってなかったんだ。
「だからもっと取っつきやすさを出してアピールするのがいいと思うんです!」
凛空ちゃんがごそごそと制服のズボンのポケットからスマホを取り出した。
「こんな時もやっぱSNSじゃないですか!」
取り出されたスマホの画面にはありとあらゆる大手サイトのSNSのアイコンが並べられていた。
さすがコミュニケーションおばけ、ネットの世界でも発揮してるらしい。
「愛和高校におもしろいことやってるアカウントがあるーって広めればいいんですよ!」
そう言ってトントンッとスマホをタップして、一つのアプリを開いた。
「例えばTwitterで…」
「待って、有末くん」
「はい」
「有末くんの言うことはわかるし、とてもいい案だと思うけど、それは規模が違い過ぎて愛和高生以外の人にも伝わってしまうわ。そこまで多くの人に知ってほしいわけじゃないから」
それは藤代先輩の言う通りで、愛和高生以外どころか高校生以外にも伝わってしまうし、収集つかない状況にもなり得ちゃう。
「そしたら“うちの高校おもしろいことやってるー”ってだけ呟きますよ」
「それは今度は伝わらなすぎじゃない?情報が少なすぎるし」
「それで気になるって愛和高生に言われたら個人メッセで教えればいいんですよ、直接Speaksのアプリ送ってもいいですし」
「…そんなにアクション起こしてくれる人いるかな?」
「それはやってみないとわかんないですけどー」
私たちに見せるように凛空ちゃんがスマホの画面をみんなに向けた。
「やってみてもおもしろいと思いますけどね」
みんなで覗き込むように凛空ちゃんのTwitterを見た。
サングラス掛けた凛空ちゃんが海を背景にダブルピースしてるアイコン…じゃなくて、もっと目を引いたもの。
「「「「フォロワー3万人!!??」」」」
「凛空ちゃんインフルエンサーじゃん!」
「気付いたら3万超えてた」
けらっと笑って、さっき言ってたように“うちの高校おもしろいことやってるー”と早打ちで入力した。
「どうですか?これで」
「…いいと思う!いいよ!!」
暁先輩に太鼓判を押され、そのまま送信ボタンを押した。
ちなみに私のフォロワー数27人、Speaksでの青春リクエスションのフォロワー数3人。
3万って一体何したらそんな数字になるんだろう。コミュニケーションおばけの底力やばい。
「じゃあ凛空くん、何か反響あったら教えてね」
「わっかりましたー、すでにいいねついてるんですぐに何かありそうです!」
3万人、すごい。
私も役に立ちたかったけど27人のフォロワーに言ったところで反響は…寧々にだけこっそりLINEでもしておこうそうしよう。
名目上、生徒会だけど裏は青春リクエスションの活動。
凛空ちゃんいわく、闇の結社みたいでカッコいいって。
暁先輩が目指してるのはその逆の光り当たるスポットな気はしたけど凛空ちゃんが楽しそうだから黙っておいた。
授業後、凛空ちゃんと一緒に生徒会室へ向かった。
北校舎の最上階4階、左奥の教室。
少しづつ慣れ始めた私の居場所。
「由夢ちゃん、凛空くんお疲れ様!さぁ会議を始めるよ!」
気付けば定位置のように決まった席に座り、暁先輩の号令で生徒会会議が始まる。
「では、親睦会合宿の議題を発表します」
議題という言葉の響きにそわそわしながら暁先輩の次の言葉を待った。
生徒会としての、青春リクエスションとしての、初めての仕事は何だろう。
「リクエスト増やすために何したらいいか、意見ある人挙手で」
「「「「………。」」」」
あ、この流れデジャブ。
大概暁先輩が話した後はみんな先輩を見て黙るのがお決まりコースになりつつある。
「暁、…そんなの知らない」
今日も一寸の狂いもない鉄の女っぷりを発揮する藤代先輩がスパッと一蹴りして余計空気がしんっとなった。
尚の事、意見言いづらい雰囲気になった。
「マブ、何か意見!」
「困ったからって俺に振るな!つーか、Speaksの利用者が少ないのが問題だろ。今の利用者は全校生徒512人中94人、そのうち5人が俺ら。だとしても何の情報もなく登録してくてれること考えたらすごいと思うけどな」
だいたい生徒の1/5が登録してたんだ。
馬渕先輩が言うように、意外と悪くない数字だと思った。
「でも呟かれてるのはほぼないし、9割がノギの自作自演だし」
数字悪かった。
「今までの流れだと、俺か花絵がリクエストして、それにノギが返信して、青春リクエスションの任務完了…だったけどそれに凛空と由夢が加わっても自作自演感は否めないだろうな」
何だろう、聞く限り前途多難すぎるし、こんなこと半年も続けてたなんて…普通にすごい。全然ディスってるわけじゃないけどすごい。
何も言うことが浮かばない私の隣で、ゆっくり凛空ちゃんが手を上げた。
「あの、思うんすけど…そもそも青春リクエスション知ってる人圧倒的に少ないと思うんすよね」
ちょっと思ってたけど言いにくかったことを凛空ちゃんが言葉にしてくれた。
「もっと宣伝した方がよくないですか?」
「…宣伝、それは言えるけど。でもどうやって宣伝を…?」
腕を組んで悩む仕草を見せる暁先輩に、凛空ちゃんが話を続ける。
「俺も元々は友達に聞いて知ったんすよ。それで調べてみたけどわかんないとこも結構あって、半信半疑っていうか…胡散臭いって言うか」
「………。」
暁先輩がちょっとだけ悲しそうな顔をした。本人そんな風に思ってなかったんだ。
「だからもっと取っつきやすさを出してアピールするのがいいと思うんです!」
凛空ちゃんがごそごそと制服のズボンのポケットからスマホを取り出した。
「こんな時もやっぱSNSじゃないですか!」
取り出されたスマホの画面にはありとあらゆる大手サイトのSNSのアイコンが並べられていた。
さすがコミュニケーションおばけ、ネットの世界でも発揮してるらしい。
「愛和高校におもしろいことやってるアカウントがあるーって広めればいいんですよ!」
そう言ってトントンッとスマホをタップして、一つのアプリを開いた。
「例えばTwitterで…」
「待って、有末くん」
「はい」
「有末くんの言うことはわかるし、とてもいい案だと思うけど、それは規模が違い過ぎて愛和高生以外の人にも伝わってしまうわ。そこまで多くの人に知ってほしいわけじゃないから」
それは藤代先輩の言う通りで、愛和高生以外どころか高校生以外にも伝わってしまうし、収集つかない状況にもなり得ちゃう。
「そしたら“うちの高校おもしろいことやってるー”ってだけ呟きますよ」
「それは今度は伝わらなすぎじゃない?情報が少なすぎるし」
「それで気になるって愛和高生に言われたら個人メッセで教えればいいんですよ、直接Speaksのアプリ送ってもいいですし」
「…そんなにアクション起こしてくれる人いるかな?」
「それはやってみないとわかんないですけどー」
私たちに見せるように凛空ちゃんがスマホの画面をみんなに向けた。
「やってみてもおもしろいと思いますけどね」
みんなで覗き込むように凛空ちゃんのTwitterを見た。
サングラス掛けた凛空ちゃんが海を背景にダブルピースしてるアイコン…じゃなくて、もっと目を引いたもの。
「「「「フォロワー3万人!!??」」」」
「凛空ちゃんインフルエンサーじゃん!」
「気付いたら3万超えてた」
けらっと笑って、さっき言ってたように“うちの高校おもしろいことやってるー”と早打ちで入力した。
「どうですか?これで」
「…いいと思う!いいよ!!」
暁先輩に太鼓判を押され、そのまま送信ボタンを押した。
ちなみに私のフォロワー数27人、Speaksでの青春リクエスションのフォロワー数3人。
3万って一体何したらそんな数字になるんだろう。コミュニケーションおばけの底力やばい。
「じゃあ凛空くん、何か反響あったら教えてね」
「わっかりましたー、すでにいいねついてるんですぐに何かありそうです!」
3万人、すごい。
私も役に立ちたかったけど27人のフォロワーに言ったところで反響は…寧々にだけこっそりLINEでもしておこうそうしよう。