大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
「あ、ぁっ……。ヤダ、しゅう、たろぉさんっ。乳首(そこ)ばっかり……痛、いですっ」

(――痛くしていると言うのがお分かりになられないのだろうか?)

 日織(ひおり)の、純粋であるが故のそういう鈍感なところでさえも今はただただ腹立たしくて、修太郎(しゅうたろう)は小さく舌打ちを落とす。


「では改めてお伺いします。〝先程の件〟とは何ですか? 〝また改めて連絡します〟って何ですか? ……まさかとは思いますが、キミはあの男と連絡先を交換したの?」

 声を低めて耳のすぐそば、一言一言噛んで含めるみたいにゆっくり問い掛ければ、その度に日織が我慢出来ないとばかりに身体を震わせて。

 修太郎の方へ突き出すようになったままの臀部(でんぶ)が、日織がモジモジと足踏みをするたび、男を誘うように妖艶に揺れた。


「僕は今、日織さんを尋問しているつもりなんですがね。……もしかして、こんな状況なのに感じていらっしゃる?」

 わざと日織の弱いところを責めておきながら、(とが)めるみたいな口調で意地悪く問えば、日織が鏡越しに修太郎をキッと睨んだ。

「修太郎さんに(さわ)られて……感じるなと言う方が無理なのですっ!」
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