酒飲み女子がどきどきさせられてます
「フー」
部屋から出てため息をつく。
「で、何、あの「かんぱりーっ」てやつ?注目の的でしたけど?」
亮太郎が口元に手をやり笑いをこらえて尋ねた。
私は下を向き首をゴシゴシとこすった。
「いやいや、こっちが聞きたいわよ。よくわかんないし。八木君目当ての小山内さんがカンパリオレンジ飲んでて。もういっぱいいっぱいでとりあえず飲んで酔っ払っちゃおっかなーと」
「ザルなのに?」
「失礼ね、ザルじゃないいから!でも、いい感じで酔っ払ってたでしょ?」
「はははははっホントに酔っちゃったのかと思ったよ」
「ザルですけど?」
「やっぱ、ザルなんかいっははは」

そんな馬鹿話してたら八木君がひょっこり部屋から出てきた。
私はあわててふらふらしながらトイレに行く。正確にはふらふらしているようにトイレに行った。
廊下で優子を待つ亮太郎のもとに八木君が近寄った。



香坂さん、大丈夫ですか?ぐびぐび行くからてっきり強いのかと思ったんですが」
「うーん。そんなに弱くないから大丈夫だと思うよ。ところで、八木さんは香坂さんに何か話したいことでもあるのか?」
「え?あーと。歓迎会なのに香坂さんと話してなかったんです。だからお酌をと思ったんですが、気付けばカンパリでした。ふふっ」
「あんまりからかってやるなよ」
「からかってませんよ」
柱に寄り添って話していたら、優子が戻ってきた。

「あれ?待っててくれたの?」
小首をかしげて亮太郎の顔を見上げ、、、、隣を見て驚いた。

!?八木もいんじゃん!!

亮太郎の隣に八木君も並んで立っていた。柱の陰になって見えていなかったのだ。
さっきまで酔っ払ったふりをして逃げてきたのだから、焦ってしまった。

私は真ん丸の目をして八木君を見つめていた。
八木君も見つめ返すから、目が合って、、、私はヘラっとした笑顔を作った。
今更ながら酔っ払い笑顔である。

「八木、、、やぎくんもいたー。イケメンさんが二人ですねえ。」
口調も酔っ払い仕様にチェンジ。

「え?優子、とうとう俺をイケメン認定してくれるの?!」
亮太郎の茶々にイラつきを覚え、訂正しておく。

「。。。えー、、、イケメンさんとぼとぼちイケメンさんがいるー」
「はははは、ぼちぼちイケメンって」
八木君が笑った。

「あ、大丈夫。八木君はイケメンのほうだから。」
「あははははっ。俺、大丈夫だった!」
「ひでえ。。。俺、ぼちぼち。。。」
八木君は口元に手を当て笑いをこらえつつ、優子を優しい目で見つめた。

「香坂さん、少し酔ってたみたいですけど、もう大丈夫なんですか?」
「あ。う、うん。大丈夫」
「なら、よかった。飲ませすぎたかなって心配になりました」
八木の少し甘い微笑みに焦りつつ、
「えっと、大丈夫だけど、ちょっと外で風に当たってくるよ。先に戻ってて」
と、優子は下駄箱から自分のハイヒールを出して逃げ出した。

あんなイケメンの微笑み、心臓に悪い!

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