ズルい男に愛されたら、契約結婚が始まりました
やがて計ったように三十分したら祥太がパッチリと目を開けた。
「あ、起きたか?」
祥太はどこかわからないようで、落ち着きなく友哉の顔を見たり部屋を見回したりしている。
「祥太、今日はお出掛けしてるんだよ」
瑠佳がそばに寄って声をかけると、ハッと覚醒したようだ。
「あ、そうだった! 電車のおもちゃで遊んだんだ!」
トコトコと、また組み立てたレールのところへ歩いていく。
「祥太、そろそろお片付けしなくちゃ」
「やだ! もっと、遊びたい~」
たくさんのパーツが揃った電車やレールで遊ぶ機会はもう二度とないとわかっているのか、祥太はいつになく聞き分けが悪い。
こんなおもちゃに慣れてしまっては、普段の遊びに満足できなくなってしまうと瑠佳は焦った。
「今日は特別だったの。もうおしまいね」
祥太はプーッと頬を膨らませて、我慢できない気持ちを表している。