ばいばいって言えるまで
「今日何時に帰ってくる?」

何度も送ったであろうメッセージを今日も送った。そのメッセージに既読がついたのは送ってから数時間後のことだった。


「20時には帰れる」

返事が返ってくる時間も彼が帰ってくる時間も今日に限っていつもよりはやかった。たったそれだけで私の弱すぎる意思が揺らいでしまいそうになる。

だけどもう後戻りは出来ないのだろう。彼が家を出る前にかけた「大切な話があるの」で彼も何かを察したのだろう。それが私の顔つきだったのか、目付きだったのか、声色だったのかはわからないが、いつもと違う私に気づいたのは確かだった。

だから今日は帰ってくる時間が5.6時間もはやい。


今更何もないなんて言えないということも確かだった。


深呼吸を繰り返して彼を待った。
そして、伝えた。



ーー別れてほしいと。
その時の彼の顔を忘れることはないだろう。
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