second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結


その後は、予約画面の患者さんの数がどんどん減っているのを確認しながら、


“インフルエンザにかからないように気をつけて”

“初産だから、病院来るのは陣痛が5分間隔になったらでいいのよ”

“外来は休みでも分娩の兆候がある人には通常通り対応するから、電話をしてから病院へ来て下さいね。”

病院の正月休みに対して不安いっぱいな妊婦さんに同じような声かけを繰り返した。



『終わった~。通常より1.5倍の診察。』

「奥野先生、お疲れ様でした。もうすっかり夕方ですね。」

『本当だよ。しかも、今から病棟で処置。』

「終わりなんじゃないんですか?」

『若手のドクターが“クリスマスイヴぐらい休め、休めないのなら別れる”って彼女に言われて休ませてくれって・・・その分の代行よ。まったく。』

「うわ、悲惨ですね~。私は今から彼とクリスマスディナー行きますけど。」

『・・・それは、それは。行ってらっしゃいな。』


クリスマスディナー・・・か
そんなもの、縁がなかった
クリスマスイヴはずっと仕事を引き受けていたから

日詠クンは今日、一時的とはいえ、
伶菜ちゃんのために自宅に戻ることができるのかしら?

まあ、あれだけ伶菜ちゃんのことを溺愛している彼なら
なんとしてでもやりそう


『クリスマスイヴ・・か~。』


温かいクリスマスイヴを過ごすであろう彼らを羨ましいと思うより、微笑ましいと思えるようになったのはいつからだったんだろう?

伶菜ちゃんという存在は
実際に出逢う前から羨ましくて仕方がなかったのにね

微笑ましいと思えるのは
おそらく伶菜ちゃんの人柄の良さだろう
・・・・日詠クンとお似合いと思えるぐらいの


そんな幸せ溢れるクリスマスも過ごすであろう彼らとは真逆で
仕事の話でクリスマスイヴの夜に、同僚に呼び出し・・・か


諦めなきゃいけない日詠クンの存在が自分の心の中に棲み続けている限り、あたしはこんなクリスマスイヴをきっとこの先もずっと続けるんだろう
寂しいという想いを口にすることができないまま・・・


『さ、病棟へ行ってこよ。』


あたしは外来診察室の電子カルテ画面をログアウトさせてから、やや重だるい腰を上げて産科病棟に向かった。



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