second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



それなのに、彼は醜いあたしに一切怯むことなく

「好きでもない人に抱かれているなら、俺でもいい・・・そう思えばいい。」

『・・・橘クン・・・』

「恭矢・・・でしょう?・・・橘はあなたのただの同僚。恭矢はただあなたを抱くだけの男。」

『・・・そんな・・・』

「だから、今は、今だけはややこしいことなんか考えずに、恭矢って俺を求めて下さい。」


彼はそう言って、恭矢という彼を今まであたしを抱いた男達と同じようにカテゴライズされることを自ら誘導する。

そして彼はあたしの右頬だけでなく左頬をもその大きな手で包み込んで、左頬にまだ残っていた涙の跡を指ですうっと拭う。


「雅さん・・・雅・・・」

彼の、あたしの名を甘く切なく呼び捨てる声だけでなく、その優しい指遣いにも甘やかされたあたしはとうとう

『・・・恭・・・矢・・・クン。』

彼の下の名前をつぶやかずにはいられなかった。


「雅・・・」

それをも聞き逃さなかった彼はあたしの頬を包んでいた手をゆっくりと引き上げながらあたしの顎を掬い上げ、射貫くような鋭い瞳であたしの目の奥をじっと見つめ、


「今夜は帰らせない。」

『・・・恭矢・・クン・・・』

「・・・雅・・・」


あたしの名を呼び捨てる、恭矢と名乗る目の前の彼は再び甘く切なくそう囁きながら綺麗な鼻筋の顔を近付け、あたしの唇にそっとキスを落とした。



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