恋と旧懐~兎な彼と私~
小学生の頃,私は学童に通っていて。

同じような子は皆仲が良かった。

でもそうあれたのは,美愛のお陰だと思う。

よく休んで,来てもやりたくなかったり本を読みたかったりすると断っていたマイペースな私。

皆をまとめてあれしよう,これしようと言っていた美愛は,何回断っても毎日声をかけてくれたし,漫画読みたいと断っても,1時間おきくらいで



『やっぱり愛深も遊ぼうよ』



他の子が気にしてるときも,気にしてないときも,1人か2人で嘘のない笑顔で呼びに来てくれた。

断ると,本当に残念そうな顔をした。

それが,すごく嬉しかった。

そんなつもりではなかったと思うけど,私にあだ名をつけようと皆を巻き込んで,私の存在を確立してくれたのも美愛。

その呼び名は結構しっくりきて,学童のメンバー以外にも長く使われた。

ずっとずっと長い間憧れで,大好きだった。



「でもさ,好意を渡せたり,受け取って貰えたりする関係って,続かないときもあるじゃんね。私は今も好きだし憧れだけど」



続かなかった。

ボールで遊んだり,鬼ごっこしたいなんて思える歳が過ぎてしまって,合わなくなったから。

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