恋と旧懐~兎な彼と私~

暖かなオレンジ

家について自分の部屋に向かうと,カクッと膝の力が抜けた。

病気で力が抜けるときとは違う。

あ……れ…?

目からは涙が溢れていた。


『ここに居たら良い』



耳の奥で,落ち着く夕日みたいな暁くんの声がする。

これは歓び。

私は防衛本能からか,死ぬほど嬉しいときと悲しいときは感情の伝達が遅いことが多々あった。

これは間違いなく,嬉しさから。

そばにいて良いと言って貰えたことに安心した。

こんなの……

暁くん。私,今日寝れないかもしれないよ。

ありがとう。

大好き。

ご飯を食べてお風呂には入って,私はいつかの日々のように泣いた。

そして気絶するかのようにねむる。

久しぶりの感覚。

だけど,あの時のような孤独は,少しもなかった。
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