義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
アルコールとキス

駆side



全てうまくいく。喧嘩もせずに幸せにほのぼのと生きていける。

そんなわけないのに、俺は勝手にそう信じ込んでいた。


「……同級会…?」

「うん。中学の時の。」


大学も春休みに入り、帰省中の時だった。
のんちゃんがいつもと違った雰囲気の服装でおめかしをしている。メイクして可愛くて、服装も大人っぽい。

それがものすごく嫌だった。


「帰省してる人だけで会うんだけど、久しぶりだから楽しみ〜」

「そうなんだ。」


(そんなにオシャレする必要ある?)


自分はかなり心が狭い男だと思う。
今、引き留めたくて仕方がない。


「………どこでやるの?」

「駅前の居酒屋。」

「何時に終わる予定?」

「ん〜2次会無いだろうし9時に解散かなぁー。」

「そっか。じゃあ、9時15分ごろに迎えに行くね。」

「いいの?」

「うん」


むしろ、こちらこそ迎えに行って良いんですかって訊きたい。
久しぶりの再会に水を刺すのは嫌だけど、夜道をフラフラ一人で歩いて帰ってくるのも心配だし、同級生の男が送るとか言って家まで来られても嫌だし。

もしかしたらホテルに連れ込まれるかもだし!


「飲みすぎないでね。のんちゃん、あんまり強くないんだから。」

「言われなくても自分でセーブしますよ〜」


不安だ。ものすごく。



< 28 / 46 >

この作品をシェア

pagetop