新月Days
誰かの前で泣くなんて、久しぶりだ。
独りで泣くことはあっても、誰かに寄り添ってもらうなんて。
恥ずかしいし、来年三十路に入る女だったら、滑稽で哀れに見えるだろう。
あの人の前でだって、こんなに素直に泣いたことなんて、あっただろうか?
『綾ちゃんは、強くて真っ直ぐだから、泣いたりしなさそうだよね。』
そんな風に言われてしまったら、強い女を演じるしかない。
それがあの人の理想だと思っていたし。
でも、最後にあの人が選んだのは、おっとりしていて儚げな印象の綿飴みたいな子だった。
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