好みの彼に弱みを握られていますっ!
9.利害が一致するとかしないとか
「なるほど。更新手続きを忘れていたら、アパートの契約を親御さんに切られてしまった、と」


 飲み物のお代わりと称して、ローテーブルの上には今、よく冷えたビールが入ったグラスが2つ置かれている。

 宗親(むねちか)さんもさっさとそちらに切り替えたみたいで、昼間っから私、上司と隣り合わせで酒盛りなんて信じられない状況になっています。



 初めのうちこそ躊躇いがちにちびりちびりと飲んでいた私だったけど、そう言えばこの人には初っ端で酔っ払って親友にクダを巻いてるのを見られたんだっけ、と思ったら段々猫をかぶっているのがバカらしくなってきて。

 親友のほたると飲んでいる時さながらにいつも通りのペースでゴクゴクと飲み始める。

 私のその様に目を細めながら、宗親(むねちか)さんは案外嬉しそうで。

 部下を酔わせてどうこうしようとは考えていなさそうな澄ました顔を見て、このお綺麗な上司がどんな表情をして女の子に欲情するのか知りたい気がしなくもない。
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