好みの彼に弱みを握られていますっ!
17.わけも分からないままトントン拍子?
 同居――同棲と呼ぶのは何だかおこがましい気がします!――を始めたことに急かされるみたいに、私、宗親(むねちか)さんから〝偽装結婚〟の手はずをどんどん進められています。


 強引すぎる宗親さんに、一応は抵抗する素振りは見せたけれど、本当の意味で彼からの提案を蹴るつもりなんて微塵もなくて。


 別に生娘(きむすめ)だったわけじゃなし。
 上司とエッチ――未遂だけど――をしてしまったことぐらい、一夜の過ちだとか、成り行きで仕方なくだとか、お酒のせいでどうかしていただけだとか……。

 それこそ自分に対してあれこれ言い訳することは簡単だったはずだから。

 なのにそう出来なかったのは……あの夜自分自身がハッキリと自覚してしまったからだと分かっているの。


 ――宗親さんを誰かに()られたくない!って。


 遠巻きに見ているだけで良かったはずの宗親さんのこと、ただの憧れなんかじゃなく恋愛対象として。
 それこそ手が届くかもしれない対象として……。

 本気で好きになってしまったんだって思い知らされたキッカケが、彼と肌を合わせたことだっただけ。
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