好みの彼に弱みを握られていますっ!
26.許可を頂戴?*

side:Munechika

 春凪(はな)からの視線が、いつもより熱を帯びているように感じられるのは気のせいだろうか。


 春凪は僕の顔と声が好きだと言ってくれる。

 けど、悪いけど僕はもうそれだけじゃ足りないんだ。

 もっともっと深い意味で僕の全てを好きだと言って求めて欲しい。

 僕は春凪より八つも年が上で、しかも彼女の上司だ。
 春凪に金がないのを知っていて、彼女の弱みに付け込むような形で春凪を自分のものにしたけれど……欲しいのは身体だけじゃない。


 僕が春凪と同等の立場だったなら……例えば、せめて年齢だけでも彼女ともっと近かったなら……。
 上司なんかじゃなく、同僚として春凪のそばに立つことが出来ていたならば。

 僕はいまより素直に春凪に「愛してる」って伝えて、春凪のことを「愛しくてたまらない」と抱き締めることが出来ただろうか。
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