好みの彼に弱みを握られていますっ!
 壁に近い側をほたるが、その隣に私が座ったのには他意なんてない。たまたまだ。

 だけど、メリハリボディを可愛いキャメルのケーブルニットワンピースで包んだ、さらさらショートカットのほたるを、私という壁で守るには丁度いい配置かもって思ったの。

 彼氏に女としてはかなり情けない理由でふられてしまって傷心の私。
 そんな私を、
「パーッと飲んで愚痴って忘れちゃおう!」
 と、大学入学当初からの友人であるほたるが誘い出してくれて。

 ついでに大学からそんなに離れていないところに2人して就職が決まったお祝いもしなきゃね、これからもよろしくねってことだったんだけど。

 最初は離れずに済んで嬉しいね!から始まった会合も、お酒が進むにつれてほたるの優しさに甘える形で元カレの愚痴をつまみにフラれ女の私がくだをまき始める様相を呈して。

「もぉ、絶対にどんなに求められても脱がないんだからぁぁぁぁ」

 ギュッ!と拳を握って、私はいま出されたばかりのビール――3杯目をグイッとあおった。
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