好みの彼に弱みを握られていますっ!
41.このまましてもいい?*
「あっ、宗親(むねちか)さっ、やぁ、……ンっ」

 脱衣所に着くなり、着ていた白いニットのワンピースを性急にまくり上げられた私は、(すそ)から侵入してきた宗親さんの手を懸命に服の上から押さえ付けた。

 でも宗親さんはそんなのお構いなしと言った調子で、もう一方の手でショーツ越し、私の一番敏感な花芽(ところ)をゆるゆると刺激する。

「んんっ」

 それだけで立っているのがやっとなくらい足がガクガクと震えてしまった私は、宗親さんに一生懸命しがみ付いた。

「香水を作りに行ったからかな? 今日の春凪(はな)。キミ以外の色んな香りがいっぱい混ざってる」

 チュッとわざと音を立てるように耳朶を吸い上げた宗親さんが、私の耳元にゾクリとするような低音ボイスを吹き込んできて。

 大好きな彼の声に一気に力が抜けた私に、
「気に入らないな」
 言って、宗親さんがあっという間にワンピースをするりと身体から抜き取ってしまう。

 結果、私は「ひゃぁっ」と間の抜けた声を上げる羽目になってしまった。

 私はこういう時にもこんな風に時折とっても締まらない反応をしてしまう。
 それが堪らなく恥ずかしくて、思わず宗親さんの視線から逃れるみたいに(うつむ)いたんだけど。

 宗親さんはそんな私を逃がす気はないみたい。

春凪(はな)のそういう可愛いトコ、凄く好き……」

 くるりと身体を反転させられた私は、下着姿のまま洗面台に手をつかされてしまった。

 これ、顔を上げたら間違いなく真正面の鏡に自分の恥ずかしい姿が映ってしまうし、下手したら鏡越しに宗親(むねちか)さんと目が合ってしまうやつ!

 すぐさまそう気付いたけれど後の祭り。

 宗親さんは私の肩に軽くあごを載せると、耳のすぐそば。「春凪、そのまま顔を上げてまっすぐ前を見て?」と甘やかな声音で私を(そそのか)すの。

「ヤ、ですっ」

 せめてもの抵抗に嫌だと言ってみたけれど、その途端「本当にダメ?」と邪見にされた子犬みたいな声で聞いてくるの、凄くずるい。

 私は宗親さんのその声に不安になって、思わず顔を上げて。

 鏡越し、バッチリ彼と目が合ってしまった。

「――っ!」

(絶対わざとだ!)

 思いながら声にならない悲鳴を上げて視線を逸らせようとしたけれど、私はヘビに睨まれたカエルみたいに宗親さんの視線から逃れられなくなってしまう。

「春凪、凄く色っぽい顔になってる」

 パチンッと背後でブラのホックが外されて、少し前かがみになっていた私の胸が解放を喜ぶみたいにプルンッと揺れながら生地を押し退けてまろび出たのが鏡に映った。

 それが恥ずかしくて仕方がないのに。

「下もすごく濡れてきたね」

 このタイミングでショーツの隙間から中に指を差し入れてくるとか、反則じゃないですか!?
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