私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
翌日の朝。

学校の下駄箱で、またもや優星くんに出くわした。

優星くんは、私と目が合うと、一瞬ビクッとした後、覚悟の決まった表情をした。


「み、……深月! おはよう!」


おおおおお!!

頑張ったね!! 優星くん!!


私は部活のコーチになったような気分で、心の中で優星くんに拍手した。


「……何? その拍手?」


心の中に留めておくつもりが、現実でも手を叩いてしまっていた。


「ごめんごめん。
優星くん、有言実行の男なんだなぁって」

「期待してた反応と違うんだよなぁ……」

「?」

「何でもない」


優星くんは、深い深いため息をついた。


「ほら。さっさと教室行こうぜ、深月」


気のせいだろうか。

私に対する優星くんの言葉遣いが、ちょっぴり雑になっているような……?

なんだか投げやりな態度の優星くんとともに、私は教室に向かったのだった。


< 75 / 165 >

この作品をシェア

pagetop