愛と狂気の真ん中で

愛と狂気の真ん中で

独占欲に近かったと思う。

俺は花の露出している肌やお腹に,全身くまなく噛みついた。

ハッと正気に戻ったとき,花は何故か息を切らしていて,俺は言い様のない幸福に包まれる。



「あぁ,花……」



その時俺は気づいた。

俺もまた,狂っていたのだと。

花はあの日,俺が同族だと嗅ぎとったのだ。

だから今,俺の狂気を垣間見て,こんなにも目を輝かせている。



「花,俺は花のだから好きにして良いよ。今までみたいに。でも,花も俺のだ」

「うんっ! それで良いよ,椿。お姉ちゃんなんてやめるっ。椿の好きにして?」



歓喜なのか安堵なのか,俺は息を1つ吐く。

そしてまた,花に愛を誓い,キスをした。

愛と狂気の真ん中で,俺はこれまでと変わらず,抵抗なんてしない。

寧ろ自分から飛び込むようにして,花に溺れていった。

俺には外の世界も,傷のない生活も,両親も要らない。

ただ花だけが,そこに在れば良い。
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