優しくない同期の甘いささやき
私も祥太郎のことは好きだけど、ちょっと自分勝手なところは不満に思っている。

ちょっとだけ……だけどね。

祥太郎は考えるように「んー」と視線を天井に向けた。私たちはキッチンからリビングにあるソファに移動して、肩を寄せて座っていた。

このソファは祥太郎が以前から使っていた物だ。新しいのを買おうと彼は言ったけど、まだ使えるのでふたりで暮らす部屋に運んだ。


「不満か……美緒から求めてくれないことくらいかな」

「どういうこと?」


私が何を求めない?

何を求めたら、うれしいの?

祥太郎は私の前髪をかきあげて、額にキスをした。


「美緒から求めてくれたのはさ、あの一回だけだよね?」

「あの一回? どの一回?」


なんのことを言われているのか、全然わからなかった。


「美緒からしてくれたキスだよ。あのときのことは……俺を求めてくれたし、俺たちが初めて結ばれたときだったから、一生忘れない」


わかった!

彼の言う忘れられない日は、私にとっても忘れられない日だ。

私史上、一番緊張した日だし、好きな人と結ばれた大切な日だから。
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