優しくない同期の甘いささやき
「付いてこないでよ」

「なんだよ。助けてやったのに冷たいな」

「それは……うん、ありがと……」


熊野は苦笑して、私の前を歩いていく。


「ちょっとコーヒーでも飲もうぜ。胃は痛くないんだろ?」

「ん、痛くない」


朝の休憩スペースには私たちの他にふたりだけしかいなかった。窓に面した席に腰をおろす。

良い天気だけど、遠くの方は霞んでいた。

そんな景色を見ながら、頬杖をつく。


「今日、休まずに来てさ、偉いじゃん」


紙コップに入れたコーヒーを飲む熊野を見て、私は口を尖らせた。


「またそうやって、バカにする」

「だから、してないって言ってるだろ。マジで心配してるんだけど」


熊野が心配してくれているのは、分かっていた。それなのに、かわいくない返しをしてしまう自分に嫌気がさす。

肩を落として、そっと伝えた。


「ありがと……」


熊野はフッと小さく笑う。

その横顔がなぜか輝いているように見えて、私は目をこすった。

おかしいな。

熊野がキラキラして見えるなんて、私の目は変だ。


「どうした? ゴミでも入ったのか? ちょっと見せてみろ」
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