500文字恋愛小説
№50 冬のアイス
「なあ。
買ってこいって言うから買ってきたけど。
真冬にアイスはなくねー?」

不満顔の彼にデコピンを食らわせてやる。

「なに言ってんの?
暖かい部屋で食べるアイスは、最高に決まってんでしょ」

「そんなもんかね」

買ってきてもらったのは、ちょっと贅沢してハーゲンダッツ。
真冬のアイスは夏と違って、こってり系がいいと思うのは私だけ?
いつものように、ぬいぐるみよろしく抱きしめられ、彼の腕の中でアイスを開ける。
スプーンにすくって一口。
やっぱり最高だと思う。

「なあ。
俺にも一口」

「んー」

開けられた口にスプーンを突っ込んでやる。
もそもそと食べてたら、肩をツンツンされた。
振り返ると口を開けて待ってる。

「……真冬のアイスはないんじゃなかったの?」

「こうやって食べさせてもらうのはあり?」

にやりと笑う彼の口に、乱暴にスプーンを突っ込んでやった。
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