500文字恋愛小説
№76 赤い糸
クラスマッチのはちまき作り。
テーマ色は赤だから、赤いはちまき。
当然、使う糸は赤。

ちくちく、ちくちく。

ひと針ずつ、心を込めて。
彼がこのはちまきを使ってくれますように。

「まだやってたんだ」

「うん。
あとちょっとで終わるから」
 
教室に入ってきた彼が、ひとり残って作業してた私にちょっと笑った。
私の前の椅子に後ろ向きにそのまま座る。

「赤い糸ってさ」

「え?」
 
彼はクルクルと糸巻きから長めに糸を外して切ると、自分の左手薬指に結んだ。
なにをやっているのかと思わず手を止めると、反対の端を私の左手薬指に結ぶ。

「なーんてね」
 
赤い糸で繋がった小指と小指。
照れてる彼と熱い顔の私。

「外さないと作業できない」
 
ハサミを掴んだ私の手を彼が止める。

「ずっと、このままがいい」
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