500文字恋愛小説
№93 玉子焼き
お昼休み。
食堂でお弁当食べてたら、手、突っ込まれた。

「俺は玉子焼き、
しょっぱいのより甘い方が好みだなー」

「は?
勝手に食べといて文句言わないでくれる?」
 
精一杯、虚勢を張って指を舐めてる男を睨み付ける。

「いや、うまかったよ、ごちそうさん。
でも、やっぱ俺は玉子焼きは甘い派だ。
覚えて置いて」

「なんで私がそんなこと、
覚えておかなきゃいけないのよ!」
 
怒ってる私に男はにやりと笑うと、手をひらひらと振っていってしまった。

……明日の玉子焼きは甘いのにしよう。

密かにそう、思ってた。
< 93 / 103 >

この作品をシェア

pagetop