8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
  *  *  *

 オスニエルがいないので、フィオナの寝室にはドルフとリーチェが集まり、聖獣姿に戻ってくつろいでいた。
 双子は子供部屋で眠りにつき、侍女たちも今は自室に下がっている。
 話はリーフェの『オスニエルってどこに行ったの?』から始まり、フィオナが説明すると、
『ロイヤルベリーって、私、知ってるよ』と言い出した。

「そうなの?」
『うん。ルーデンブルグもロイヤルベリー家の管轄地のひとつなんだよ。すんごい端っこだけど。たまに視察の人とかが来ているよ?』
「そうなのね。公爵様ってどんな方か分かる?」

 リーフェはフィオナに白い毛並みを撫でられて、気持ちよさそうに目を細める。

『なんか、ふにゃふにゃした人。やわらかいけど、なに考えているのかよくわからない。悪い人じゃなさそうなんだけど、たまに嫌なにおいがするんだよね』
「におい?」
『花のにおいなのかな、あれは』

 そういえば、ルーデンブルグにある王家の離宮のそばには、植物園もあると聞いたことがある。

「そうなの」
『たまにいいにおいのときもあるんだけど、嫌なにおいのときは、鳥がざわついたり、魚が暴れたりするからちょっと苦手』
「……?」

 なぜ鳥や魚が関係するのか分からず、フィオナは小首をかしげたが、リーフェは普段から思ったままを発言するので、内容が分からないことも多い。今回もそれと同じだろう。

(ロイヤルベリー公爵家では香水を作っているって言っていたっけ)

 開発しているくらいだから、当然、失敗のにおいもあるのだろう。
 なんにせよ。オスニエルには無事に帰って来てほしいものだ。

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