マスカレードknight
Masquerade knight
珍しく、高野(コウヤ)がクリスマスイブに出かけてもいいって言い出した。出逢って六年、クリスマスもハロウィンも異教徒の祭りだとかナントカって、歯牙にもかけなかったくせに。

『・・・伊万里(いまり)が煩いからだ』

からかったら、睨まれてこっちの所為にされた。ハイハイ、スミマセンねー、お寺の息子にクリスマスなんか強制してー。

高野は鳳来寺(ほうらいじ)の跡取りで、身寄りのないあたしの拾い主。恩は忘れてないし、きっちり返すつもり。だから立場は対等。へつらいもしないし卑屈にもなんない。言いたいコト言って我慢もしない。それがあたし。

だいたい高野だって、坊主のくせして慈悲とか慈愛とかないわけー?いつだってギブアンドテイク。あたしを好き勝手に抱くわ、ちっとも言うコト聞かないわ。

・・・まあでもね。高野がいなかったら今頃は風俗に沈んでたか、海に沈んでたか。神も仏も困った時くらいしか頼りにしないけど。高野だけは特別。

なんにも持ってないあたしの、たった一つ。
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