王子の盲愛
王子と結婚

【告白】

私立◯◯◯学院。

資産家の御曹司や令嬢が集まる、いわゆるセレブ校。
学生のほとんどが幼稚園からエスカレーター式に通っている。

その中でも一際目立つ、人物がいる。


国内最大の財閥一家・八神一族の息子、八神 王弥。


スラリとした身長と、モデルのような長い手足。
眉目秀麗、文武両道。
何もかも“完璧”な男。
そして、いつも冷静で好き嫌いがはっきりしている。

冷淡な性格な故に、基本的に冷たい男だ。

今年、大学に入学したばかりの大学一年生。

そんな王弥には、愛してやまない女がいる━━━━━



今日こそは、告白しようと門の前で待っている王弥。

そしてその、愛しい人が通学してきた。


「ねぇ!北城 理世ちゃん!」

「は、はい!?」

「話があるんだ。
少し、付き合ってくんない?」

「は、はい!」

人気のない所へ移動する、二人。
「ごめんね、こんな所に連れてきて……
大丈夫。君を傷つけるつもりはないから!」

「い、いえ!」

「あのね」

「はい」

「僕と、結婚して?」

「………」

「………」

「………」

「……聞いてる?」

「………」

「……なんか、反応して?」

「……こ、これは…王子の戯れ?」

「あー、そうくるかぁ!
違うよ!僕は、至って本気だよ!
理世ちゃんのこと、好きなんだ!
でね、凄く好きなの。
どうしようもないくらい……!
だから、結婚して?
僕達、18歳でしょ?
だから、結婚できるよ!」

「……では、ドッキリ?」
辺りをキョロキョロする、理世。

「本当だよ!
………うーん。どうすれば、信じてくれるかなぁー」

宙を見上げて、考え込む王弥。

「………」
「あ!じゃあ、これ!理世ちゃんにあげる!」
そう言いながら、王弥がつけていたネックレスを外し渡してきた。

「え!!?これ、確か……」
「そう!母さんの形見!
奥さんにしたいくらい大好きな理世ちゃんにあげる!
これなら、信じてくれる?」

「だ、ダメだよ!?形見なんて、受け取れない!」

「でも、理世ちゃんのこと本気だから!
形見を持っててほしいくらい、好きなの。
信じて?」

「信じる!信じるから!でも、形見は八神くんが持ってなきゃ!!」
「ほんと!?信じてくれるの?嬉しい~
じゃあ…結婚してくれる?」
「え?あ、結婚はちょっと……」
「えーなんでー!?」

(この人、ほんとに冷静な人なんだろうか?)
と、理世が思うのも無理はない。

明らかに動揺している。
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