王子の盲愛
王子と大学

【盲目】

大学の後期授業が始まり、二人は一緒に大学に向かっていた。
「理世ちゃん、電車の中ではいつにも増して僕から離れちゃダメだよ!」
相変わらず、過保護な王弥。
駅のホームで理世に言い聞かせる。


「うん、でも王弥くんと手を繋いでるから離れようがないよ!」
「わかんないよ?僕から、理世ちゃんを連れ去る輩がいるかもだし!」
「うーん。その心配はないよ!
私、王弥くんや身内以外に可愛いなんて言われたことないし!
あ!王弥くんの方が、連れ去られるかも(笑)」
クスクス笑っている、理世。

「その心配はないよ。
僕は“絶対に”理世ちゃんから放れたりしない。
片時も放れるつもりないから。
……………何の為に、結婚したと思ってるの…」
一瞬、王弥の雰囲気が黒く染まった気がした。

「え……王弥…くん…?」

「ん?なぁに?
ほら、理世ちゃん。
電車来たよ?」
そう言って、理世の手を引き電車に乗り込んだ。

理世を窓側に寄せ、庇うように立った王弥。
「理世ちゃん、少しの辛抱だからね!」
「王弥くん、もう少しこっち!」
繋いでいた手を自分に引き寄せながら言う。

「ダメだよ!理世ちゃんにくっつけるの嬉しいけど、理世ちゃんが潰れちゃう!」
王弥は窓に手をつき、理世との距離を保った。

「でも、他の人達が窮屈だろうし。
私は大丈夫だから!王弥くんがいてくれたら、少しくらい苦しくても大丈夫!」
見上げて微笑んだ、理世。

「理世ちゃん////
ほんっと、敵わないなぁ…!」
「え?」
「ううん。じゃあ…もう少しだけ、くっついちゃお!」
王弥が少し近づく。

「……////な、なんか////」
「ん?」
「なんかね…」
「うん」
「王弥くんに、壁ドンされてるみたい////」
「フフ…確かに…!
じゃあ…顎クイもしちゃおっと!」
理世の顎を持ちあげた。

「キス、していい?」

「え……王弥くん////」
「ん?チュッて、軽くでいいからさせて?」
「だ、ダメだよ……」
「やだ…キスしたい……」

「こんなとこで…だめ…」

「お願い…理世ちゃんのこと好きすぎて止まらない……」


王弥はとにかく、理世の事に関しては冷静さを失う。

寝ても覚めても“理世”
頭の中は“理世”しかない。
そして理世に対して、盲目で過保護な王弥。

そして理世を手に入れた今、将来は理世の身の回りの全ての世話をすることを最大の目標にしている。

本当の意味で、理世が王弥なしでは生きられないようにしたいと画策していた。

その為か元々冷淡な性格の王弥が、理世以外には益々冷淡になっていた。
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