王子の盲愛

【表裏一体】

「いい?理世ちゃん、絶対!僕から離れないでよ!」
「うん!もちろん!
楽しみだね!フフ…」
今日は二人で一泊の温泉に出掛けようと今、駅のホームにいる。

「理世ちゃんと、旅行なんて初めてだから楽しみだね!」
「うん!楽しみ!」
本当は理世の両親が行くはずだったのだが、父親の急な仕事で行けなくなり、急遽王弥と理世が行くことになったのだ。

「お義父様とお義母様に感謝しなきゃ!!」
「うん!何か、お土産買って帰ろ!」
「そうだね!」

電車が来て飲み物だけ買い乗り込む。
「理世ちゃんは、窓側ね!」
「え?でも、王弥くん窓側の方がいいんじゃない?景色見たいでしょ?」
「ううん。僕が見てたいのは、理世ちゃん!
だから必要ない!」
「………////
もう////そうゆうこと、さらっと言うんだもんなぁ…王弥くん////」
「理世ちゃんにだけね!
な~んか、理世ちゃんにだけは普通に言えるの~」

二人並んでボックス席に座る。
理世は窓からの景色を楽しみながら時折王弥に話しかけ、王弥はべったりくっつき、ひたすら理世を見ている。

「あ、王弥くん。
飴食べる?グレプちゃん飴。グレープ味だよ!」
「うん」
「はい、手出して?」
「………」
「王弥くん?」
「……やっぱ、いらない」
「ん」
理世が飴を口にいれた。

「あ、やっぱ、ちょうだい!」
「うん!はい、どうぞ?」
王弥の手に飴を乗せようとする、理世。

「違うよ」
「へ?」
「理世ちゃんが舐めてる、飴が欲しい!」
「……はい!?」

「キスしよ?」
「……や、やだよ…////」
顔を真っ赤にして、頭をぶるぶる振る理世。

「いいでしょ?」
「やだよ…」
「お願い…理世……」
理世の口唇をなぞり甘えるように言う、王弥。

「その、甘え…狡いよ……////」
「お願い…///」
「でも、人前は恥ずかしいし…」
「大丈夫。誰も見てないよ………」
そう言って、ゆっくり口唇が重なった。

「ん……」
「ん。ごちそうさま!」
「……王弥くんの、バカ…」
「フフ…可愛い…理世ちゃん…顔真っ赤…!」
口元で囁く王弥。
そして再度、口唇を寄せる。

「……////王弥く……?」
「もっと…しよ…?」
「もう…やだ…よ…////」
「ダーメ…拒まないで……」
王弥はスイッチが入ったように、周りが見えなくなる。

(誰か、助けてー)
と、理世が心の中で叫んでいると………
< 44 / 53 >

この作品をシェア

pagetop