偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「どうするつもりだ?」

管理職フロアにある副院長室に呼ばれ、おじさんと向かい合ってソファーに腰を下ろした。

「今はまだ、わかりません」
それが素直な気持ち。

1人で決められることではないし、真理愛の気持ちを聞かないことには動けない。

「距離を置くべきだな」
「それは、」
上司としての言葉だろうか?
それとも、身内としての
「あの奥さんはかなり重症だぞ」
「ええ」

それは俺も気が付いている。
高城先生が付いているから大丈夫だろうが、少し病的な印象さえ受ける。

「どうしてもあの子がいいのなら反対はしない。でも、一度距離を置いて考えてみろ。自分のことだけではなくて、彼女にとって最善策は何なのかを考えるんだぞ」
「はい」

そうだな。
真理愛にとって何が幸せなのか、それが一番だ。
たとえその結果が自分の望まないものになったとしても、俺は受け入れるしかない。
俺が真理愛を好きになってしまったんだから。
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