偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「もちろんあいつは被害者だ。でも、あいつが用意した別荘で起きた事件で、事件を起こした研修医を呼んだのも敬だった」
「でも、事件は敬のせいでは」
「わかってる。でも、あいつはわざと火の粉をかぶったんだよ。求められればカメラの前に出て堂々と答えたし、自分の顔を隠すことをしなかった」

それって、敬らしい。でも、きっと大騒ぎになったんだろうな。

「でも、どうして?」
事件の発端を作ったことに責任を感じたにしたって、わざわざカメラの前に出く必要はないはず。

「守りたかったんだよ」
「守る?」
「ああ。毒の入ったワインを飲んで被害にあったのは、敬の友人の女医だった。決して彼女を狙って起こした事件ではなかったが、研修医は彼女に恋をしていた」
「ええ、じゃあ」
動機は痴情のもつれ?

「そのことを隠したくて、彼女を守りたくて、敬は自ら悪者をかって出たんだ」
「ふーん」

そんなことがあったんだ。
だから、おじさんはあんなに敬のことを嫌うのかもしれない。
やっと納得できた。
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