偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「周囲から見れば小鳥遊の財産目当てに見えるのだろうと覚悟はしている。それでも、おじさんには返しきれないだけの恩があるんだ」
いい加減な気持ちで決めたことではないと、太郎にはわかってほしい。

「本気か?」
「ああ」
俺なりに考えに考えて出した結論だ。

「真理愛のことはいいのか?」
「え?」

いきなり話の方向が変わって固まった。

「真理愛も近いうちに家を出て一人暮らしを始める」
「え、どうして?」

もしかして俺のせいでお母さんや高城先生ともめたのか?

「あいつも色々考えたんだろう。来月には入院中だった真理愛の親父さんが退院して街を離れるらしくて、それと同時に真理愛もこの街を出るつもりだ」
「大丈夫なのか?」
高城先生がすんなり許したとは思えないが。

「父さんもお母さんも初めは反対していたが、最終的には納得した」
「そう、なのか」

意外だな、真理愛の1人暮らしなんて絶対に反対されそうなのに。

「お前、今度の週末休みだろ?」
「ああ」
さすがに週に一度は休みをとらないと過労死してしまう。

「土曜日の夜は俺の家に泊まったことにしておくから一度真理愛に会ってちゃんと話をしろ」

それは兄としての言葉なのか、俺の友人としての言葉なのか、太郎の真意は定かではないが真理愛に会いたい気持ちがあるのは確か。
ましてやこの街を離れてもう二度と会えないかもしれないのなら一度会って話をするべきだろう。

「わかった連絡をとってみる」
ここは素直に太郎の好意に甘えさせてもらうことにしよう。
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