偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
おじさんが用意してくれた特別室はとても広くて、ベットの横には大きな応接セットがあり、病室から続く扉を開けると付添いの家族が休めるようにと和室までついていた。

「わー、凄い」

奥にはミニキッチンがあり、その隣には湯船のついたちゃんとしたお風呂が設置されている。

この部屋、一体いくらするんだろう。
自分が言い出したこととはいえちょっと怖い。

トントン。
ドアをノックする音。

「失礼します」
入り口から看護師さんが入ってきた。

「お変わりありませんか?」
「ええ」

お父さんは相変わらず眠ったままで、まだ目を覚ましてはくれない。
なんだか気持ちよさそうに眠っている。

「お嬢さん、お食事はされました?」
「いいえ」

看護師さんが心配そうに声をかけてくれるけれど、今は何も欲しくない。

「売店も9時には閉まってしまいますから行かれるなら早めに行ってくださいね」
「はい」

後で飲み物だけでも買いに行こうかな。
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