偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「敬さん、今日は遅くなりそうなの?」
「うーん、スタッフの休みが多いから、いつ帰れるかわからな」
「じゃあ、来ない方がいい?」
「そう、だなぁ」

明日は敬さんもお休みだから泊りたいなって思っていたけれど、仕事なら仕方がないか。

「真理愛も午後から予定があるんだろ?」
「うん。でもそのあとまた病院へ戻ってくるつもりだから」
「そうか、じゃあ早く帰れそうなら連絡するよ」
「うん、そうして」

付き合っているわけでもないんだから、敬さんを束縛するつもりも、無理を言うつもりもない。表立って言える関係でもないし。
それでも、会いたいと私は思っていた。

「午前中は病室にいるんだろ?」
「うん。約束は午後だから」
「あとで病室に顔を出すよ」
「ありがとう」


病院の敷地に入る前に、私たちは分かれた。
私は時間外入口で面会の申請をし、敬さんは建物脇の社員通用口から病院へ入って行った。
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