偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
急に真理愛が来なくなったから何かあるのかもしれないと思ってはいたが・・・
どうやら高城先生に俺と真理愛のことが知られてしまったらしい。

「たとえ成人しているとはいえ、真理愛はまだ学生だ。わがままを言えば君が止めてくれるべきだと思うが?」

温厚で穏やかな小児科医の顔から一変、見つめられただけで凍り付くような冷たい目をした高城先生が俺のことを睨んでいる。

「ここは田舎だからね、人の目もある。こういう噂が出て傷つくのは女の子なんだよ」
「・・・すみません」

謝るしかなかった。
どう考えても悪いのは俺だ。
俺と真理愛の事が高城先生の耳にどんな形で入ったのかはわからないけれど、これだけ怒っているからにはいい形で聞こえたものではないだろう。
もしかして、真理愛は叱られたのか?

「2度と、真理愛を部屋に泊めるようなことはしないでほしい」
「・・・」

俺は返事をしなかった。
いや、できなかったと言う方が正しい。
どうしても、自分に嘘はつきたくなかった。

「真理愛が傷つくようなことがあれば、僕は君を許さない」

ブルッ。
身震いがした。

広い社員食堂の片隅で、完全に2人だけの世界。
どうやら俺は高城先生を本気で怒らせてしまったらしい。
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