偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
ピコン。
今度は、メッセージの受診。

「あれ?」
太郎お兄ちゃんからだ。

ママとおじさんが結婚してすぐに、当時大学生だったお兄ちゃんは一人暮らしを始めた。
もちろん市内に住んでいるんだから毎週のように帰っては来るけれど、同じ家に暮らした期間はそう長くない。

『後で家に寄ろうと思うけれど、真理愛は家にいるか?』
『今、外なの』
『そうか。夜には帰るよな?』

まさかママと喧嘩して飛び出したとは知らないお兄ちゃんは、普通に聞いてくる。

『ごめん』
それに対して私は何も答えず、一言だけ打ってメッセージを送った。

私はお兄ちゃんのことが嫌いじゃない。
優しいし、かっこいいし、ママと喧嘩した私をいつもかばってくれたのはお兄ちゃんだった。

ブブブ。
今度は携帯の着信。
もちろん相手はお兄ちゃん。
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