唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
「『O-ura Nice Man's Club』って知ってるかな?」
「…あ!聞いたことある!」
『O-ura Nice Man's Club』とは。
我が大浦高校が誇るイケメンたちの秘蔵写真をあげる浦高の裏サイト。
有料会員になると高画質データを貰える。
イケメン達には事前に許可をとってるので、唯くんの写真が載ることはなかった。
「わたしその管理人。九条くん絶対儲かるから前々からお願いしてたんだけどなかなか承諾もらえなくてね〜。」
「委員長が!?す、凄いね…?」
確かすごくクオリティの高いサイトで、大人がやってるんじゃないかって噂が出てたくらい。
「…え、じゃあ唯くんそのサイトに載る写真撮ってるの!?急にどうして!?」
「だから、羽根村さんのおかげ。掲載引き受ける代わりに諸々の調査依頼お願いされたのよ。」
「諸々って…」
私は唯くんが委員長に話しかけていたタイミングを思い出した。
「…委員長が犯人を探してくれたの!?」
「そゆこと〜!フフ、だから安心してね。私と九条くんは何にもないよ。」
「へ」
「嫉妬に狂った目で見てたよね?」
「え!?」
「ほう…?」
唯くんが流し目でニヤッとする。
すかさずシャッターを切る委員長。
あ、入会します。それください。
…て違う、そうじゃなくて、
「嫉妬なんてしてないよ!してない!」
慌てて否定すると、唯くんが冷ややかな目で私を見下ろした。
「…してくれないんだ?」
「う…」
そう、言われると…
「じゃあ優花が嫉妬しちゃうようなことしよっか?委員長」
「ん?それお金になる?」
唯くんがおもむろに委員長との距離を詰める。
「ッだぁーーーーー!!!!!!」
慌てて2人の間に割って入った。
「してます!嫉妬してます!!嫉妬に狂ってますから!!やめてぇ!!!!」
涙目で叫ぶと、唯くんが嬉しそうに笑った。
委員長がシャッターを切る音が聞こえて、唯くんがカメラのレンズを隠しながら私に耳打ちした。
「その顔かわいい」
「!!」
私が顔を赤くすると、唯くんがまた嬉しそうに笑ったまま言った。
「今日は逃げんなよ、ちんちくりん。」