クリスマスイブ🔔
夜10時過ぎ。
結局医局で事務仕事を始めてしまった私は、気が付いたらこんな時間になっていた。

さすがにもう帰ろう。
これ以上遅くなると明日の出勤が辛くなる。

ブーブーブー。

はあー。
帰り支度をしようとカバンから取り出した携帯が震えるのを見て、また溜息が出た。

今日一日で数えきれないほどの着信。
その全てが大河から。

ブブブ ブブブ。
今度はメール。

『遅くなってもいいから、連絡して』
そのぶっきらぼうな内容に大河の怒りが現れているようで、少し怖い。

連絡を絶って10日。
いい加減愛想をつかしてくれればいいのにと思うけれど、大河の態度に変わりはない。
淡々と私に呼びかけ続けてくれている。

『ねえ、もうやめようよ』
ジッと携帯を見つめながら、一文字一文字打つ。
けれど・・・

送信ボタンが押せないまま、消去した。

「ああぁー、もう」

パンパンッ。
自分で自分の頬を叩いて気合を入れる。
これがいけないんだよね。

デートの約束をしても、実際に会えるのは半数ほど。
いつも仕事が入ってドタキャンばかりなのに、大河はイヤな顔一つせずに許してくれた。
私は大河に何もしてあげられていないのに・・・
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