御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
第一章 ばれてしまった嘘
国内最大手の製紙会社『富川製紙』の地下スタジオは、明るいライトの中活気に満ちていた。

昨日と今日行われている会社案内掲載商品の撮影はあとワンカットを残すのみだ。

二日間立ち会っている広報宣伝部の御園菫は、二メートル四方のテーブル全体に華やかな色の折り紙や色画用紙で作った動物や花を慎重に並べ終えた。
 
どれも立体的で見栄えよく、彼女の背後からスタッフたちが興味深げに眺めている。

「こんな感じかな」

身長百六十センチで手足が長い細身の身体を折り、作品のひとつひとつの位置を丁寧に確認していく。
 
肩より少し長いダークブランの髪が彼女の小さな顔の横で揺れた。

その目は大きくて愛らしく、少し垂れ気味なのが優しい印象を添えている。

菫は形がいい唇を引きしめ、カメラマンに視線を向けてうなずいた。

菫が並べた作品はすべて彼女の手作りで、自社商品を使った力作だ。

これまで会社案内だけでなくホームページでも作品を発表し、商品の紹介ページの片隅に彩りを添えてきた。

ホームページには菫が作品を作る過程を紹介する動画もアップされていて、それを楽しみにしている視聴者も多い。

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