御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
第四章 お見合いに隠された想い
翌日出社した途端、部署内から一斉に視線を向けられ菫は居心地の悪さを覚えた。
 
昨日突然現れた母が菫に大声をあげていたのを多くの社員が目撃していたのだ。

おまけにその後黎が駆けつけたカフェも会社の最寄り駅の構内だ。

店内には何人もの同僚たちがいて、黎が菫の肩を抱いて連れ帰る様子を眺めていたらしい。

ただ事ではない状況に加え、取引先のイケメンの御曹司として有名な黎が登場したのだ。

その情報はひと晩にしてあっという間に広がった。

「場所が悪かったですよねー」

席に着きパソコンの電源を入れた菫に、笹原が声をかける。

「会社からすぐの場所だったから、目撃した社員が多かったみたいですね。一緒にいた私も色々聞かれました」

笹原は面白がるようにそう言って、どうしたものかと笑っている。

「昨日は本当にごめんね。せっかくおいしいステーキを食べに行こうって言ってたのに」

菫は椅子に座ったまま深々と頭を下げる。

「いいんです。ステーキよりも男前を間近で見られてラッキーでした。それより、大丈夫ですか? 今日は休めばよかったのに」

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