カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ
月 (ひな)


 「あー…あと10センチ身長が欲しい〜?!」


 『月、そればっかり!』


 「だって、だって、小さいと色々大変なんだよ~」

 『女の子は小さい方が男性に好かれるの!』

 良く高校生のころ、友人達に言われた言葉。でもいつになっても、私を好きになってくれる男性はいなかった。

 いつでも友人達は恋バナに夢中で、私はその輪に入っていけない。


 身長も低い、顔もイマイチだからダメ何だろうなと、ずっとそう思っていたあの頃。

 下の妹は美人で彼氏が途切れたことも無い。


 姉妹でどうして、こうも差が出るのだろう。


 もうあの時から恋愛に諦めを感じていた。きっと独身なんだろうな…


 彼氏なんて、もういいや…

 大学も家から通える距離を選び、ただ就職のため何かしたいとか、夢もなくて。


 同じ毎日が流れて行くだけ、そうまだそう思って生きていた。

 

 ここからの桜は本当に綺麗!!


 学食から見える中庭には、見事な八重桜並木が広がっている。


 時々花ビラがヒラヒラと、まるで音楽を奏でるように落ちていき、私の心を癒やしてくれる。


 初めてこの大学に入って良かった。そう思えた瞬間。


 ずっと見ていたな〜。


 桜の時期が短いのがちょっぴり寂しいな。


 
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