たすけて!田中くん
「お前は好きな男はいるのか?」
この話の流れで私に振られるとは思わなかった。
好きな男っていったら田中くんだけど、それは友達としての好意だ。敦士が言っている好きな男は恋愛的な意味だから、そうなると「いない」というのが答えになる。
首を横に振ると、敦士が予想していたかのように満足げな顔になった。
「なら、俺と本気で付き合っても問題ないな」
「は?」
自信満々にそんなことを言われても、はい!なんて答えるはずがない。こんな危険な男と付き合いたいはずがない。
「あの——!」
ぐらりと視界が揺れる。
突然私の腕を掴み、ぐいっと自分の方へ引き寄せた敦士が囁く。
「凪沙」
「う、えっ!?」