皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
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 さて、ここで話は過去にさかのぼる。

 第三騎士隊隊長のエドガー、第五騎士隊隊長のマーティン。この二人は、学生時代からの同級生であり、騎士入隊も同期であった。お互い同じ年に副隊長となり、さらに同じ年に隊長となった。
 しかもそれぞれ裏の二つ名を持ち、エドガーは極寒の騎士、マーティンは温和の騎士と呼ばれていた。いや、今でも裏ではそう呼ばれているため、もしかしたら本人たちも気付いているかもしれない。

 その二つ名の通り、エドガーの冷酷さは老若男女問わず、彼の目をみたら氷にされる、とも言われている。超絶クールな毒吐き。その毒にマーティンも何度やられたことか。
 それに対しマーティンは穏やかである。ミレーヌが優しいと評しているが、とにかく老若男女に優しい。足が痛くて休んでいる老人がいれば、背負って送り届けるし、迷子になって泣いている子供がいれば、肩車をして親を探す。

 まったくもって正反対の二人であるが、同期入隊ということもあり、何かと縁があった。

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