イブに浮気しやがって死ねば良いのにと叫んでいたら、意地悪ばかりしてくる天敵の上司に喰われただけの話



 そうして、翌朝、目を覚ました私は絶望した。

「ま、まさか……現実……?」

 裸のまま身体を起こした隣に眠るのは、皆の憧れだが、自分にとっては天敵である上司の姿。
 血の気が引いていく。

「三十手前で彼氏とも別れたから、私には仕事しか残っていないのに――絶望的……」

 そう思っていると、上司が目を覚ますではないか。
 そうして彼は女子受けが半端ない端正な顔立ちで、こちらを覗いてきながら告げた。

「女に不自由したことなかったが……最近、上司が身を固めろって、俺に見合いを進めてきて鬱陶しかったんだ。ちょうど良いから、俺の女避けになってくれよ」

 彼は、私の黒髪を手に取ると、ゆっくりと口づける。

(え? 何を言って? ハリウッド映画の見過ぎじゃないですか? 部長、なんなの、その仕草。そんなこと言われても……何で、私なんでしょう? 部長)

「さて、仕事に行く前に、酔っていないお前ともう一回だけ――」

 そう言われて、またベッドに押し倒された私は、酔いを言い訳にはできない状態に追い込まれ、またも彼に抱かれてしまったのだった。


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