辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
「前に連中は義賊を気取っていると言っただろう? どうも、窃盗団に加入しているやつらは首謀者を崇拝しているような()がある」
「──首謀者を崇拝……」
「ああ。何人かは捕まったのに、誰ひとりとして口を割らないそうだ」
「なるほどな……」

 セシリオはぐっと眉を寄せ、口をへの字にする。首謀者を崇拝しているとなると、そう簡単には口を割らないだろう。

「あと、今回起きた五件のうち一件、気になる証言があったそうだ」
「気になること?」
「ああ。襲われる直前、子どもが飛び出してきたと」
「子ども? その窃盗団の一味か?」
「わからない。ただ、その子どもに驚いて馬車を止めたところで襲われたと。子どもは気づいたときにはもういなかったそうだ」

 モーリスの説明を聞きながら、セシリオの表情は益々厳しいものへと変わる。
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