【短編】猫が運んだ淡い初恋
人にも動物にも優しくて、ひたむきに頑張る姿が魅力的で。
尊敬してたんだけど、交流が増えるにつれてだんだん恋心を抱き始めた。
といっても、俺のことはただのクラスメイトとしてしか見られてなかったから、完全な片想いだったけど。
それに先輩のほうが女の人と話すのが上手かったから、距離を縮めるのも自然だったもんな。
相思相愛なのも薄々感じてたし。
だから告白するって聞いた時、これはもう入る隙はないなと身を引いて、背中を押した。
最初は寂しかったけど、今は心の底から応援している。
「なんかさ、好きな人がいるだけでも、何気ない日常も特別に感じるじゃん。それがいいなって」
「あー、わかる。世界がキラキラして見えるよね」
もちろん、友達と過ごすのも特別。
自分を作る必要がないから心が楽だし、何より安心感がある。
だけど、恋人だとさらにドキドキやときめきが加わる。
こういうのって恋愛特有の感情だから、ちょっと羨ましいなって思ったんだよね。