離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「…… いや、離婚届は提出しない」

「え? 」

 思い掛けない言葉に、驚いて顔を向けると、そこには耳まで真っ赤にして、掌で顔を覆っている蓮斗さんが目に入った。

「…… 大丈夫…… ですか? 」

「あ…… その…… 俺と、君は、恋愛結婚…… だったのか? お、俺は君を、あ、愛していたのだろうか? 」

(ええええっ?! 何? 今のが幸せだ、とか言いたいのですか?! 幸せ自慢?!)

「…… おそらく……?  」

(かなり強引なプロポーズでしたが…… )

「幸せだったのか? 」

「…… たぶん…… ? 」

(数えるくらいしか、一緒にいれませんてでしたが…… )

「…… 君は? 君は俺を、あ、愛してたのか? 」

「…… 二番目に幸せだと、思えるくらいには…… ? 」

(貴方が一番に幸せだと、言ってくれたから…… )

「…… なんで全て、疑問系なんだ? しかも二番目?! 」

(だって、全て過去の事だから…… )

 不思議そうな顔をする蓮斗さんが、私には不思議だった。

 まさかのプロポーズの言葉も、忘れちゃう程、私に興味無かったの…… ?

 悲しくなって、ウルッっときたが、ん? と、頭の記憶を絞り出す。

(蓮斗さんってかなり、デキる人だよね? 流石にプロポーズの言葉くらい覚えているよね…… ? )

 
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