離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「お腹の子は…… 俺の子、だろ? 」

 母子手帳とエコー写真を手に部屋を出て行こうとしているシエナを引き止める。

「イエ…… チガイマス…… 」

「?! 」

 嘘だろ?!

 俺以外に、身体を許したのか?!

 身体の奥底からグラグラッと、嫉妬が湧き上がって来て、苦しくなる。

「浮気してたのか?! 」

 ムムッと、シエナが抗議の視線を向けた。
 
 …… ウヴッ、昨日までの白鳥とのやり取りを考えたら、俺の方が悪いのか?!

「この子は、私の…… 、私だけの子です。  ……それに、まだ産むか…… 決めてませんし…… 」

 小さな声で呟く声をどうにか拾うと、心臓を鷲掴みにされた様な感覚が襲う。

「…… 産まない気か?! 何故だ?! 」

「…… それを私に言わせる気ですか? 」

 悲しそうな顔をするシエナに、胸が痛む。

 こんな顔をさせやがって! 記憶を失う前の俺、本当にクズだな。

 腹が立ってしょうがない。

 それは、シエナに対してもだ!

 父親は俺だ!

 存在を無かった事にはさせない。

 記憶を失う前の俺が良いだなんて、俺は俺に嫉妬する。

「ふざけるな! その子は俺の子だ! 勝手に諦めるのは許さない! 記憶が戻れば、全てがわかると言うのなら、君が、シエナが俺の側にいろ。 記憶を戻すのを手伝え! 」

 どうやって、陥落してやろうか……。

 これからの日々が楽しみで、自然と口角が上がる。

 記憶を失っても、記憶が戻っても、これだけはわかる。

 俺は何度でも、きっと君に恋をする。

 毎日、愛を囁いて、寵愛してやろう。

 



 

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